米株投資家の悩み(円高対応とFX取引)

2022年12月20日に公表された日銀の「利上げ?」への対応について考えを整理しました。

日銀の金融政策変更

まずは黒田総裁記者会見の冒頭説明です。

ドル円への影響

皆さんご承知の通り、ドル円は急落しました。

その後(12月24日現在)底値から2円ほど戻しています。

米株投資家の円高対策

米株投資家の対策は大別すると次の3つになると思います。

  • FXでヘッジする
  • 米株を売って円転する(日本株を買う)
  • 何もしない(米株保有を継続)

以下は各対策についての私見です。

FXでヘッジ

自分は今回の日銀による「利上げ」以前に、FXでドルを売り建てしてありました。

しかし、22日の日銀会合は無風の見込みだったので特に身構えていませんでした。何もする必要がないと考えていました。ところが、お昼休みにたまたまスマホを見たら、ドルが急落していくチャートにビックリしました。

何が起きたのかわからないまま、反射的に売り建てを決済しました。

しかしドルはその後も急降下し続けます。慌ててニュースを漁り、日銀が金融政策を変更したことを知りました。

結果的にFXの利確は早すぎました。

FXを使ったヘッジの難しさを痛感しました。

ドルの売り建てでドル安のヘッジをしておいたつもりでも、解消するタイミングをうまくつかめなかったのです。ヘッジは為替差益・差損が相殺しあって効果を発揮するわけですから、いいとこどりはできません。下手に動くとヘッジの意味も失われてしまいます。

さらに長期間ドルを売り建てたままにしておくとスワップポイントの支払いがボディーブローのように効いてきます。日銀が「利上げ」したとはいえ、まだまだドル円の金利差は大きいからです。

次の引用は 佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長の記事からの抜粋です。ドル売りポジションを持ち続けることの難しさを指摘しています。

「コラム:日銀ショックで円独歩高、その後に表面化しそうな円売りの構図=佐々木融氏」から抜粋

日米短期金利差が16年ぶりの水準まで拡大している状況下で、休暇前に造成した円ロングポジションを長く保有し続けるのはコストが高く付くため、早々に巻き戻され、元の相関関係に戻る可能性もある。
日米の3カ月金利差は16年ぶりの440bp程度まで拡大している。こうした状態で長期間円ロング・ドルショートポジションを保有するのはコストがかかる。
YCCの修正がさらに進んで日本の長期金利が上昇しても、20日の動きでもみられたように、日本の投資家がヘッジ付き外債の売却に動くとの思惑から米国の長期金利も上昇してしまうので、結局、長期金利差は縮小しそうにない。
「米国が利下げに動く中でも日銀が利上げに踏み切る」というほとんどあり得ない予想でもしない限り、日米短期金利差はさほど縮まない。また、日本の貿易赤字は金融政策で変えられるものではない

https://jp.reuters.com/article/column-toru-sasaki-idJPKBN2T50AF

米株売却と円転

ドル安回避の最もシンプルな方法は米株を売ってしまうことです。米株を売って円にしてしまえば、その瞬間に為替リスクから解放されます。

ここもと米株で成功してきた人は「日本株に投資価値なし」という認識の人が多いですから、米株を手放すことには躊躇いがあります。

ですが、前述の通り米株を保有したままのヘッジには相当のコストがかかりますから、当分ドル安が続くと考えるなら一旦、米株を手放すのが正解になると思います。

為替予想に定評のあるニトリ会長は次のように語っています。

来年は間違いなく円高、1ドル110円を切る可能性も=ニトリ会長

[東京 23日 ロイター] – ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は23日の決算会見で、来年のドル円相場について「間違いなく円高になる」とし、110円を切るかもしれないと語った。

https://jp.reuters.com/article/nitori-1223-idJPKBN2T708N

米国高配当株投資によるFIREの大御所「三菱サラリーマン」さんは、米株を一部売却し、代わりに三菱UFJの株を購入したとブログ記事に書かれていました。金利上昇が邦銀の収益向上に有利との見立てですね。

自分は今年の7月に133~138円のゾーンで一部の米株を円転しました。田中泰輔さんの「逃げて勝つ」を参考にさせていただきました。しかし、結果的に150円台までの円安メリットはみすみす逃したことになります。

為替の動きを的確にとらえて利食ったり、ヘッジするのはとても難しいことだと実感しました。

何もしないで、米株をホールドする

3つ目の対応方法は「何もしない」ことです。

この先ニトリ会長の予言通り、ドル円が110円になると高値150円から20%の下落となります。

20%の下落は大きいものの、個別株でこの程度の損失を被った経験のある人はいくらでもいるでしょう。

ボラティリティーの高い相場環境では右往左往して実現損を積み上げるより、何もしない方が良かったということが多いものです。

米株投資を継続するなら結局為替リスクは無視するしかないような気がしています。

自分の結論

短期的なドル円レートの変動に備えた為替リスク対策は基本何もしない。

為替リスク管理はポートフォリオに占める外貨資産の比率コントロールで行う。(比率を減らすなら売却して円転する)ということになります。

FXは開始してから2か月程度になりますが、結局は次の2つの目的に使うのに適しているという考えになりました。

①短期的な投機取引(これには自制心が必要、やるかどうかは自分次第)

②ドル預金代わり(レバレッジをかけずに安価な為替手数料のメリットを享受しつつ金利(スワップポイント)を稼ぐ)

日米間の大きな金利差が続く状況でのドル売りヘッジにFXを使うのは適していないと思いました。

参考にしていただければ幸いです。

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