今回は幕張メッセで有名なJR海浜幕張に行ってきました。このエリアは埋立地を整備した場所です。三井アウトレットパーク、ZOZOマリンスタジアム、ホテルニューオータニ幕張、アパホテル&リゾート東京ベイ等の有名施設があります。
成田空港・羽田空港との間でリムジンバスが発着しており、交通の便が良いです。
幕張ベイタウン
住宅街は幕張海浜公園によって商業エリアとは分離されています。規格の統一されたマンション「パティオス」が整然と立ち並んでいます。電線が地中化されているので電柱がなく道幅が広くなっています。路上駐車は禁止されていません。日本では他にみることのない欧州風の街並みになっています。
街の変貌
幕張メッセのオープンが1989年(平成元年)、ベイタウンの入居開始は1995年です。住宅街が形成されてから27年が経過したことになります。
実は約25年前にベイタウンの賃貸マンションに一年ほど住んだことがありました。当時は駅前の商業エリアにも建物はまばらで住宅街のマンションも今の1/3程度しかできていませんでした。今は3つある小学校も当時は一つだけでした。
空き地が多く、のどかな海辺の雰囲気が色濃く残っていました。住人も買い物客も少なかったのです。自分はこの当時の雰囲気がとても好きでした。東京のオフィスから帰宅し海浜幕張駅の改札をでるともうリゾート感があり、疲労感から解放されるような感じがしたのです。今では地区全体が建物で覆われたので当時の雰囲気は失われたのだろうと思って訪問しました。
駅周辺はイベント会場やアウトレットに来る若者で混雑しており、「やはり」という感じでした。しかし、道路幅や公園等、街の構成要素の規模が大きく計画的に配置されているため、事前に想定していたほどごみごみした感じはありませんでした。アウトレットパークの店舗の中はそれなりに混雑していますが、屋外を歩いている分には十分空間的な広がりが感じられました。
ベイタウンエリアもマンションが増えたとはいえ程よく公園が配され、道幅も広いので狭苦しい感じはしませんでした。25年以上経過したマンション群の外壁は比較的綺麗で、老朽化して見苦しいという感じはありませんでした。
むしろ、マンション一階には商店やクリニック等が入居して街の利便性は向上した感じがしました。
こちらは図書館を併設した公民館。住宅地として成熟感が出てきていました。
京葉線の海浜幕張駅と新習志野の中間エリアには巨大なイオンモールとCOSTCOがあります。この辺りには新駅を建設中とのこと。
また、海岸沿いには「幕張温泉湯楽の里」ができていました。住環境、ショッピング、レジャー、至れり尽くせりの街に成長しています。
欠点は?
災害リスク
いいことずくめのようですが、やはり地震・津波の災害リスクが心配です。東日本大震災発生時、幕張地区は液状化しています。いまその痕跡は感じませんが、もともと埋立地ですから地盤が弱く地震に弱いのは間違いありません。ビル群を支えるためには、相当深い地層まで杭をうっていることになります。
しかし学会での報告によると、打瀬地区は被害が少なかったようです。
美浜区液状化生活コスト
ベイタウンにあるスーパーはマルエツが展開する高品質スーパーマーケットのリンコスだけ。ここは商品の値段が高いです。東京でいえば紀伊国屋や成城石井という感じ。普段使いにはちょっと値段が高すぎです。しかしベイタウン内には他に小さな八百屋さんがあるぐらい。庶民感覚で生活必需品や生鮮食品を買える場所が近くにありません。少し足を伸ばせばいろいろなお店があるのですが、それには車が必要になります。老いて免許返上となれば、リンコスを利用せざるを得ないでしょう。
住宅の状況
ベイタウンエリアの土地は千葉県の所有になっています。いまある建物は借地権マンションがほとんどです。バブル景気で地価が高騰していた当時、県が安価な住宅を供給するために借地権マンションにして分譲価格を抑えたのです。しかし、一次分譲で設定された価格は後から見るとかなり高いものでした。分譲が進む段階でバブル崩壊後の金融不況が深刻化し値崩れが進みました。初めに7千万円台で販売していたのと同程度の物件が5千万円台に、さらに売れ残った部屋は4千万円台まで値下げしていました。一次分譲の購入者がその後の販売会場で文句を言っていたものです。
この地区の中古マンションの価格が比較的安いのは、築年を重ねたことと借地権マンションだということが理由です。しかしバブル崩壊後の最安値を知っている者としては今の価格は高すぎると感じます。また、東日本大震災の直後は2千万円台まで価格が下がったとの記事もありました。コロナバブルで中古マンションが値を上げている今、急いで売りたいという人も多いのでしょう。
街にはリフォーム業者の店舗や広告が目立ちました。街づくりが始まった当時の入居者のリフォーム需要が強いのでしょう。築年を重ねた建物がこれからも良好に維持管理されていくのか微妙な感じは否めません。
このエリアに住むもう一つの方法は賃貸マンションを利用することです。UR・千葉県住宅供給公社・民間賃貸の物件があります。いずれも家賃はさほど安くはありません。公的な性格のあるUR・公社の賃貸マンションはいろいろお得感はあるのですが、現在空室はありませんでした。
中古マンションの購入について考えた
このエリアで一番古いパティオス1番街、築27年、3LDK 81㎡の物件が3,140万円で売りに出ていました。また同じマンションの賃貸物件(77.67㎡)の家賃は16.5万円でした。
マンションの価値を収益還元法(説明は省きます)で計算してみました。現在東京地区で築20年~35年の賃貸マンションの平均利回りは7%~10%です。利回り7%で単純に収益還元価格(現在価値)を計算すると次の通り、約2,820万円になります。部屋の条件は相違しますが、家賃から差し引く諸経費を考えると実質的に得られるキャッシュフローはもっと少ないでしょうから、売り出し価格はやや割高です。
年間家賃198万円÷0.07=28,285,714円
また、中古マンションには持続可能性の面でいろいろ問題があります。建物の維持管理がしやすい物件かどうか、必要修繕積立金が十分確保されているかどうかという点です。これまで計画通りの修繕が実施されているか、そうしたことも検証する必要があります。
例えば建物の管理でもっとも大事なのが配管の更新です。こちらの記事が参考になります。
中古マンションの配管寿命は?築38年の物件を買っても大丈夫?
パティオスは大手ゼネコンが力を注いだので、物件は比較的優良だと思いますが、維持管理がどうなっているのか良く確認する必要があります。
リフォーム済みで売りに出ている物件は、見えない部分の更新をしっかりやったのか、表面だけ綺麗にしたのか、見極めなければなりません。
マンション購入は、いろいろと知れば知るほど、悩み多き選択です。
結論
災害リスクと借地権マンションの資産価値や維持管理をどのように考えるか、老後の住まいとして所有・賃貸いずれを選択するのが経済合理的か?このあたりが思案のしどころで結論はすぐだせません。街は一見すると綺麗ですが、老朽化した建物はいずれ建て替えを逃れえません、人生100年時代というのは住宅の標準耐用年数より人間の耐用年数が長いということですから困ったものです。
ちなみに、ベイタウンの借地権問題については、「あなたの知らないベイタウンの借地の世界」が参考になります。
コミュニティーの様子は幕張ベイタウンニュースを読むと垣間見ることができます。中古マンションの大規模修繕状況や管理組合の悩みの記事など、興味深いものがあります。
いずれにしろ住んで楽しい魅力的な街だと思います。
岸田総理ではありませんが、強い関心を持って慎重に検討をすすめたいと思います。
コメント
こんばんは。僕は20年ほど前、海浜幕張から駅を2つ蘇我よりに行った「稲毛海岸」地区のUR住宅に住んでいたことがあり。当時は幕張も日常の生活範囲でした。住むには良い場所だと思いますね。僕も戻りたいくらいです。
そしてブログは今回の記事と他2つほど拝見いたしました。ブログの文章もお上手で構成もしっかりまとめられてるなと。僕のサイト運営の参考にさせていただきます。
今後ともよろしくお願いします。
コメントありがとうございました。
ベイタウンは各種リスクを考えると賃貸が合理的かもしれませんね。投資で安定したキャッシュフローが確保できれば、老後(もうすぐ還暦ですが。。。)もそれでもいいかと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。