追悼石原慎太郎さん お勧めの作品は

石原慎太郎氏の訃報が流れました。都知事時代の印象が強い石原氏ですが、もともとは「太陽の季節」で芥川賞を受賞した作家です。

多作でしたが自分の印象にのこったのは、次の2作品でした。「太陽の季節」や私小説類は発行当時鮮烈な印象があったのかもしれませが、今読んでもね。

スパルタ教育

1969年出版。随分古いです。氏は戦後の「民主教育」「進歩的文化人」隆盛の渦中でも、過度な権利尊重や平等主義には否定的でした。日本の伝統的価値観や保守主義に根差した教育論を展開していました。

自分は子育て期間(20年ほど前)にこの本に出合いました。

家庭内暴力、引きこもり、ニート、陰惨な事件が起きている家庭にはどうも「民主的」「進歩的」「文化的」な父親が多いという印象がありました。母親が強すぎて父親の影が薄いのも共通しています。

それに反して伝統的価値観を重視する頑固オヤジの家庭には意外に問題が無く、子供が健全に育っている。周囲を見回してもそんな実感がありました。その実感にピッタリはまる本でした。

自分の子育ての参考になりました。幸い二人の子供は世間に迷惑をかけることも無く自立できたので良かったと振り返っています。

石原氏も男子4人に恵まれ、お子さんはそれぞれに世に知られた存在になっています。毀誉褒貶はあるとしても立派に成人されたのは事実でしょう。

もう一つ印象に残った作品がこちら

天才

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石原氏はまだ元気な国会議員だった時代に「金権政治家の田中角栄」を批判していたものです。当時は与党政治家でありながら正論を展開する清々しさが人気でした。

しかし、その後「角さん」の人間味に惹かれるようになったと言います。「角さん」を批判していた自分の薄っぺらさに気づいたと言います。そして「角さん」のことを愛情たっぷりに描き直したのがこの本です。

自分も若いころの未熟さ、視野の狭さ、小児的な正義感に囚われていたことを振り返ることがあります。

大げさですが、石原氏の思想遍歴に自分の思いも似ているような気がしてこの本が印象にのこりました。

この機会に何か読んでみようという方の参考にしていただければ幸いです。

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