投資が好きな大学生に金融機関への就職を勧めない理由

投資好きの学生

このところ投資ブームですが、大学生や高校生でも株式投資をしている人が増えてますよね。投資を扱ったマンガも出ています。

村上ファンドの創設者による、高校生への投資教育も話題になりました。

学生時代から株式投資を始めた人の中には、このままプロの世界に入ろうということで金融機関への就職を考えている人もいると思います。しかし、リスク資産への投資を継続したいと考えている人には良い就職先と言えません。

なぜなら、証券会社や銀行に就職すると、自分のための投資に大きな制約が課せられるからです。

証券会社員や銀行員が株式取引できなくなる理由

金融機関では株式や投資信託を販売していますが、リスクのある商品の販売を担当するには「証券外務員」という資格が必要です。

日本証券業協会が資格試験制度を運営しています。

外務員とは、協会員(本協会に加入している証券会社や銀行等)に所属している役職員のうち、顧客に対して金融商品の販売・勧誘等を行う者をいいます。

本協会では、外務員としての資質を確保するために、外務員資格試験制度を設け、合格者に外務員資格を付与しています。

外務員として職務を行う場合は、外務員資格試験に合格した後に、所属している協会員を通じて本協会へ外務員登録申請を行い、外務員登録を受ける必要があります。

ほとんどの金融機関では新入社員にこの資格を取得させ外務員として登録します。どんな業務を担当していても一律に登録している会社がほとんどです。試験はそれほど難しくないのですが、しっかり準備せずに落ちる人もチラホラいます。試験に落ちた人は白眼視されます。合格するまで受験しなくてはなりません。

ですから金融機関に就職するとほぼすべての人が「外務員」登録され、「外務員」としての義務や禁止事項に従わされることになります。

外務員は信用取引・先物取引・投機的売買が禁止されます。会社に外務員登録されてしまうと今ネット証券で先物信用口座を開設している人は、口座を閉鎖されることになります。外務員の属性(名前・生年月日・所属会社等々)は業界で共有されるので隠しておくことはできません。その結果225先物取引などはできなくなります。

また、各金融機関はインサイダー取引を厳しく禁じるために、自己取引をやる場合には事前の届け出制度などを設けています。短期的な取引も含めて多様な売買で利益を得たい人にとっては、これが邪魔になります。

もっともインデックスETFはインサイダー取引規制の対象外ですし、外国株式は日本の金融商品取引法の対象外です。

金融機関に就職するならFPより、まず外務員資格

マネリテに関心のある人にはFP資格の取得が流行っているようですが、これは「業務独占資格」ではありません。この資格が無くてもFPの仕事はできるわけです。逆に資格があっても、貧乏なFPに相談する人なんていないでしょう。知識の習得の目途としては良いのですが、FP資格の取得は金銭的利益に直結しません。(奨励資格にしている金融機関もありますが、宅建やTOEICの方が重視されています)

他方、株や投信を販売するには「証券外務員資格」が必須です。この資格なしには商売ができません。金融機関に就職することにした学生が就職前に勉強しておくなら、FPより「証券外務員資格」の方がメリットがあります。就職直後いろいろと負担が多い新人時代に、義務的にやらされる資格試験の勉強を減らすことができて楽になるからです。

昨今、大手に採用が決まる学生は宅建取得済み、TOEIC800点以上なんて人はざらですからこの程度の資格試験勉強は苦にならないかもしれせんが。。

証券外務員資格試験

制度の内容はこちらのリンクをご参照ください。(証券外務員資格試験制度の概要

金融機関に就職していなくても誰でも受験可能です。銀行で投信販売をする営業パートの仕事に就きたい人なども、この資格を保有していると採用されやすいと思います。

外務員資格試験とは、外務員としての資質を確保するために本協会が実施している試験です。

現在、一般の方に開放している外務員資格試験(一般受験)は、一種外務員資格試験と二種外務員資格試験です。原則として、どなたでも受験が可能です。 

二種外務員資格を保有していない方でも、一種外務員資格試験の受験が可能です。

協会員を通じて取得した外務員資格と一般受験で取得した外務員資格に違いはありません。

ということで、自分で自由に投資したい、仕事は適当にやって早くFIREしたいと考えている学生は、面倒くさいルールの多い金融機関に就職するのはやめておいた方がい良いでしょう。

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