米国高配当BDC、ARCCとは?日本のネット証券では買えません。BDC組み入れ投信はありますが。。

米国BDCとは

米国で上場されているBDC(Buisiness Development Company)は、端的にいうと中小企業にお金を貸して高い利息をとり、株主に分配してくれる金融会社の総称のことです。 創業期のグーグル、アップルなどもBDCからの支援を受けたということです。

この金融会社には税制上の優遇があると同時に業務運営については一定の法規制の下におかれています。その内容は次のとおりです。

  • 収益の90%以上を投資家に配当することで法人税を免除されます。REIT(不動産投資信託)と同じです。
  • 負債の額を資本の額の2倍以内に抑えることになっています。
  • 資産の70%以上を中堅企業に融資することが義務化されています。

投資家は高利回りを享受できますが、金融危機には弱いとされており、リーマンショックの際には、たたき売られて元本が大幅に毀損しました。しかし、長期で見ると株価は回復していますから結果的に良い運用成果を手にしている投資家も少なくないでしょう。

代表的な銘柄であるAres Capital Corporation (ARCC)が4半期配当で年利9.71%毎月配当のProspect Capital Corporation (PSEC)の利回りは13.48%になっています。(2020年12月現在)この利回りは日本国内の投資商品と比較すれば「インチキ商品」の水準ですが、素性の確かな上場金融会社です。

  • 主なBDC
    • ARES CAPITAL CORP
    • PROSPECT CAPITAL CORP
    • MAIN STREET CAPITAL CORP
    • HERCULES CAPITAL INC

米国BDCは、経験豊富な高配当好き投資家には人気です。リスク許容度の高い熟練の投資家が分散投資の一部として保有したいと考える場合が多いようです。この銘柄だけで不労所得での生活を夢想する人もいます。ARCCを5千万円分買えば約450万円の配当が得られますから夫婦2人の老後には十分です。

コロナ禍後の値動きは?

今回のコロナショックでどのような値動きになるのか、配当は維持できるのか大いに注目されたところです。経済危機で株価が下落した時に仕込みたい銘柄として、虎視眈々と狙っていた投資家も多かったと思います。結果、BDCの代表銘柄ARCCの株価は順調に回復してきました。配当もわずかな減配にとどまっています。

ARCCはコロナ禍の影響が懸念された時期に「株主への手紙 2020年3月23日付」をリリースしました。そのなかで、ポートフォリオと流動性の管理を適切に行っていること、COVID19を乗り越え株主の利益を確保することを宣言し自信を示しました。こうした情報発信の早さにも好感が持てました。

今回の危機でBDCの安定感が維持できたのは、FRBによる桁外れの金融緩和で、コロナ危機が「金融危機」には至っていないためです。

FRBのスタンスが継続する限り金融会社にとって大事な仕入れ(資金調達)の心配がありません。もともとBDCの負債は資本の2倍に制限されていますから資金繰りに窮するリスクは抑えられています。ただし金融当局の緩和スタンスが変化すると、一転叩き売られる可能性があります。高配当だから塩漬けとは考えず注意を怠らず逃げ足の準備もしておくのが無難です。

以下はARCCとPSECの5年チャートです。(基準日2021年2月25日)

ARCCはコロナ禍で2020年3月にドスンと下げましたが、ほぼ回復しました。

配当金履歴は次の通りです。両社とも配当は前回水準を維持しています。

ちなみに、昭和課長はARCCとPSECを保有していました。コロナ禍中も配当再投資を継続してきました。PSECは戻りが悪かったのでARCCに乗り換えましたがその後順調に値を戻しています。

ネット証券のBDC取扱状況

各社取扱状況は次の通りです。楽天証券が買い付け停止したことで日本の証券会社では買えなくなりました。

ネット証券備考
PayPay×2022年1月新規取引停止。保有株の売却のみ可
楽天×2021年12月新規取引停止。保有株の売却のみ可
マネックス×2020年11月新規取引停止。保有株の売却のみ可
SBI××取扱実績なし

SBI証券はこれまで一貫して取り扱っていません。以下はSBIが取り扱わない理由の告知です。


米国株式 エイリスキャピタル(ARCC)の新規取扱いに関して 2019/6/26

お客さま各位

平素は当社をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
日頃よりお客さまから銘柄追加リクエストをいただいております、「米国株式エイリスキャピタル(ARCC)」につきまして、採用可否を検討させていただいた結果、当社では同社のBusiness Development Company(BDC)という法人形態は、外国投資法人に該当する可能性があると判断いたしました。これに加えまして、外国投資法人の取扱い時に、日本国内で必要とされる「外国投資法人に関する届出」の提出が当社では確認できていないことから、現時点での取扱いはできかねる旨の判断をいたしましたのでお知らせいたします。
このたびはお客さまのご希望にお応えすることができず、大変申し訳ございません。
お客さまにおかれましては、引き続き当社をご愛顧賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

株式会社 SBI証券当社では原則として下記に該当する銘柄を取扱いすることができませんマスターリミテッドパートナーシップ(MLP)、リミテッドパートナーシップ(LP)「外国投資信託に関する届出」がなされていない海外ETF及び海外REIT、Business Development Company(BDC)企業の登録本籍地が「欧州金融取引税」導入予定国の銘柄米国店頭取引(OTC)銘柄

日本籍のBDC組み入れ投資信託

日本の証券会社はBDCを組み入れた投資信託を作って販売しています。例えば、日興アセットマネージメントの「ミューズニッチ米国BDCファンド(毎月分配型)」です。こちらはSBI証券でも取り扱っています。

米国ハイ・インカムBDCファンド(三井住友アセットマネジメント)もあります。

20超のBDC銘柄を組み入れ分散を図り、為替ヘッジ付も出していまず。レポート類も充実していますから、投信を保有していない人も日興アセットマネージメントのサイトでBDC情報を確認するのは有益だと思います。ただし、投信の運用費用は少々割高です。1.85%の費用が掛かっていました。これを合理的なコストと考えれば、投信購入もありです。

投資マニアの皆さんなら、個別にARCCを購入したいところですが、日本では買えなくなってしまいました。残念です。

取扱い再開をお願いしたいものです。

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