ビットコイン・仮想通貨何が問題か

仮想通貨をめぐる動き

最近ビットコインをめぐるニュースが増えてきました。

  • 米金融大手バンク・オブ・ニューヨーク・メロンが暗号資産(仮想通貨)の資産管理サービスを立ち上げると発表。
  • 米大手決済プラットフォームPayPalが、2020年10月に暗号資産市場への参入を開始して以降、初の決算、暗号資産事業を開始したことで以前よりもアクティブなユーザーが増加。
  • イエレン財務長官が大量のエネルギーを消費するマイニング(採掘)が環境へ与える影響について懸念。
  • ビル・ゲイツが資金に余裕のない投資家にとっては災いの原因になる可能性があると警告。「イーロンは十分な資金を持っており、よく分かっているので、ビットコインの価格がランダムに変動しても気にしないだろう」と語った。
  • 中国の内モンゴル自治区当局は、同地域のエネルギー消費量を減らすため、地元のすべての仮想通貨マイニング施設を閉鎖することを提案している。

仮想通貨ってなんだ?

仮想通貨の仕組み、よくわかりませんよね。とりあえず、「マイニング」が理解できるとわかった気になります。ユーチューブ動画ではこちらが比較的解りやすいと思いましたので、興味のある方は参照してください。

【初心者でもわかる】仮想通貨のマイニングとは?できるだけ分かりやすく解説‼︎

そのうえで、仮想通貨に潜む問題点を挙げてみました。

マイニングに参入して大丈夫?

Twitterに「マイニングはやってみたけど、電気料金と設備投資であまり儲からん」とか、マイニングに使う「グラボ(グラフィックボード)が品薄で手に入らない」とか多数つぶやかれています。また、マイニングマシーンを販売している田舎の小さな不動産屋のサイトもありました。皆さん、本当に仕組みが解って参入しているんでしょうか?なんかわけもわからず儲かるからと騙されて設備を買っている人もいるような・・・

それはともかく

各国が懸念しているのはマネーロンダリング

大手金融機関や世界的な大企業がビットコインの決済インフラになろうとする動きが加速しています。各国中央銀行も関与すべきかどうか、関与するとすればどのような仕組みが良いのかを考えています。

現在、各国の国内決済やクロスボーダー決済のインフラを支えているのは中央銀行とそれにぶら下がる民間銀行、そして金融機関が相互に構築した決済通信システム(日本国内の資金決済では日銀ネットと全銀ネット。クロスボーダーの資金決済ではSWIFT)です。

他方、ビットコインを支えるブロックチェーンという仕組みは国家の管理下にある銀行決済システムの外にあります。政府や中央銀行は管理監督できません。

国家権力が管理監督できないということは、ビットコインがマネーロンダリング(犯罪資金の洗浄)やテロ資金に利用されても、国家が資金の動きを追跡したり、規制したりできないということです。主要国の政府はそこを懸念しています。

また、金融政策のコントロールも効きません。(でもマイニングから得られる収入に税を課すことは今もやっています)

マネーロンダリング・テロ資金対策の現状

米国は中国、北朝鮮、イラン等自国に不都合な国に対して経済制裁を課すことがありますが、この手段として効果的なのが資産凍結です。有力者や企業のドル資産を使えないようにすることがあります。米国はなぜ資産凍結ができるのでしょう。

例えば、日本人がメガバンクにドル預金をしたとします。日本の銀行にあるんだから、アメリカは手出しできないような感じがしますよね。しかし、メガバンクは自分の銀行の金庫にドル紙幣を積んでいるわけではありません。お客さんの預金に相当するドルを米国の銀行に預けてある理屈になっています。そもそも、ドル預金するときドル紙幣を日本の銀行の窓口に持ってくる日本人はいませんよね。たいていは円をドルに交換して預金にします。銀行はドルを預かっているということをコンピュータ上に記録するだけで現金(ドル紙幣)は全く動いていません。日本の銀行はお客さんのドル預金に相当する金額を市場で円を対価に買い入れます。そしてそのドルは米銀にある日本の銀行の口座に残高として記録されるだけなのです。

米国政府は日本の銀行がアメリカの銀行に預けてある米ドルを押さえることで間接的に日本人のドル預金も動かせないようにできるのです。

ただし、現ナマ(ドル紙幣)を個人で保管している場合には規制の網に引っ掛かりません。スパイ映画で麻薬や武器取引に現金を持ち運ぶシーンが登場するのは、このためです。しかし実際には犯罪資金の決済でも大量の紙幣を持ち運ぶことは難しいし危険でしょう。偽札が混在していることもあります。主要国の金融機関は大口現金取引を規制していますから大量の現金は簡単には出回らないのです。最近はスパイ映画でも電子送金が登場していますが、国際的な規制が強くなり、こうした送金に応じる銀行はほとんどなくなりました。

米ドルは世界で最も流通性の高い通貨ですから各国政府も富裕層も犯罪者も誰もが資産は米ドルで持ちたいわけです。その米ドルは終局的にはアメリカ国内の銀行にあるので米国政府が強権を発動すれば全てグリップできるのです。世界の基軸通貨ドルを支配する米国の強みです。

しかしビットコインがあたかも米ドルのようにグローバルに流通しだしたらどうでしょう?米国の力を削ぐ結果になります。ですから、米国は何らかの形で仮想通貨を一定の管理下に置き、仮想通貨の保有者や仮想通貨による決済をトレースできる仕組みを求めるはずです。中国も規制強化を始めたようですが、こちらも共産党支配を脅かしかねない、統制の効かない経済活動を懸念していることが影響していると思われます。

主要国がうまく管理できると思えば、存在を許容し続けるかもしれませんが、潰しにかかる可能性も十分ありますね。お気を付けください。

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