AT&Tの取締役会は2021年6月25日、第2四半期の配当を発表しました。今回発表された四半期配当は前回と同じです。同社はここ数年メディア事業への参入の失敗から企業再編や配当政策の見直しに取り組んでいます。改めてこれまでの経緯と今後の見通しを確認してみます。
四半期配当の内容(2021年6月25日発表)
- 一株当たり 0.52ドル
- 権利確定日 2021年7月9日
- 支払日 2021年8月2日
配当履歴
過去の配当履歴は次の通りです。
毎年12月の発表で増配してきましたが、2020年に増配を停止しました。
ワーナー分離、ディスカバリーと統合で配当見通しは
ここで、改めて2021年5月17日に発表されたワーナーメディアとディスカバリーとの統合発表を振り返ります。
共同記者会見の動画
プレスリリース
配当に触れている部分は次の通りです。
The transaction is anticipated to close in mid-2022, subject to approval by Discovery shareholders and customary closing conditions, including receipt of regulatory approvals. No vote is required by AT&T shareholders.
Attractive dividend – resized to account for the distribution of WarnerMedia to AT&T shareholders. After close and subject to AT&T Board approval, AT&T expects an annual dividend payout ratio of 40% to 43% on anticipated free cash flow1 of $20 billion plus.
統合は、ディスカバリーの株主による承認と、規制当局の承認を条件として、2022年半ばに完了する予定です。
魅力的な配当
AT&Tの株主へのWarnerMediaの配当のサイズが変更されれば、AT&Tは、決算後、取締役会の承認を条件として、200億ドル以上の予想フリーキャッシュフローに対して40%から43%の年間配当支払い率を見込んでいます。
統合が完了する2022半ば以後、配当総額はキャッシュフロー200億ドルの40%、80億ドルになる見通しです。これは2020年の配当150億ドルの半分ちょい、に減配されるということです。
AT&T Chief Executive Officer John Stankey Updates Shareholders
2021年5月24日、スタンキーCEOが株主向けに情報のアップデートを公表しました。配当に言及している部分は次の通りです。
Attractive Dividend. AT&T does not expect changes to the dividend prior to the close of the WarnerMedia-Discovery transaction, which is expected to occur in mid-2022. Stankey reiterated that after close and subject to AT&T Board approval, AT&T is expected to continue to be among the top 5% of dividend paying stocks with an anticipated annual dividend level of $8 billion to $9 billion per year. Also at close, existing shareholders of AT&T will continue to hold their shares in AT&T but will also hold 71% of shares of the new media company. The expected value of those shares based on the capitalization as of May 14, 2021, is in the $7-$8 range per share of AT&T stock, or the equivalent of 4+ years of AT&T’s current annual dividend, tax free.
Stockholders will have optionality to maintain their stake in the new media company and benefit from any appreciation, or, for those who prefer dividend income, they may sell their shares of the new media company and reinvest in dividend stocks, including AT&T.
魅力的な配当。AT&Tは、2022年半ばのWarnerMedia-Discovery統合の終了前に配当金を変更する予定はありません。スタンキー氏は、AT&Tの取締役会の承認を条件として、AT&Tは引き続き配当支払い株の上位5%に入ると予想され、年間配当レベルは80億ドルから90億ドルになると繰り返し述べました。また、AT&Tの既存の株主は、引き続きAT&Tの株式を保有しますが、新しいメディア会社の株式の71%も保有します。2021年5月14日現在、これらの株式の予想値は、AT&T株式1株あたり7ドルから8ドルになります。またはAT&Tの現在の年間配当の4年以上に相当します。
株主は、新しいメディア会社への出資を維持し、評価の恩恵を受けるか、配当収入を好む人は、新しいメディア会社の株式を売却して、AT&Tを含む配当株に再投資するかを選択できます。
減配しても、新会社の持ち分があるし、希望すればそれを売却してAT&Tの株を買い増しして配当を受けることもできるということです。
これは企業価値はこれまでと変わらないというメッセージですが、逆に言えば、メディア事業を完全に切り離す本質的なリストラになっていないということができるかもしれませんね。
最近の株価と配当利回りは
yahoo finance usaから引用です。
配当利回りは7.23%になっていますが、統合が完了する2022年以後は減配を覚悟しなければなりません。減配を織り込めば株価はもっと下がると観ていましたが、意外に持ちこたえている印象です。統合後のメディア事業と本業がどうなるか予断を許しません。
ということで、AT&Tの配当をめぐる経緯の振り返りでした。
参考にしていただければ幸いです。
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