子育ては誰もが初体験。戦後の豊かな日本で育った親は進学や学校選びには熱心でも、それ以外に子育ての指針を持っていない人が多いのでは。本来、伝統的に受け継がれてきた日本の子育ての知恵が「民主教育」や「進歩的な価値観」が邪魔して断絶してしまったと感じます。幼児時代をすぎるころから、いろいろな問題に直面しますが、どうしていいのかわからない。
自分は先哲にその指針を求めました。当時参考にした本を振り返ってみました。
子育ては、子供を一人前にするだけではなく未熟な親自身も学び、精神的に成長する機会です。
子供をダメにしてしまうのは、過保護と過干渉。独立心の陶冶が大切なことを意識するのは小学生低学年ではすでに遅いぐらい。ニート、引きこもりの遠因はこの辺からというのが、自分のみたて。はやく気づいてください。
伝統的価値観は子供を迷わせず自立させるために大変有益というのが、自分の実感でした。
和俗童子訓
健康法等で有名な「養生訓」の著者である貝原益軒は、子育てについての教訓「和俗童子訓」という本も書いています。日本の知識階級の伝統的な価値観を改めて知ることができます。子供を「厳しく育てる。過保護を戒める」のは自分にとっても辛いことですが、それが必要だということを再認識させられます。いわゆる「戦後の民主教育」で育った軸の無い親は、学ぶところが大きいと思います。
啓発録
今年の大河ドラマ「青天を衝け」にも登場する橋本佐内の本です。
26歳で生涯を終えた幕末の志士・思想家である橋本佐内が僅か15歳の時に著した本です。当時の若者がいかに早熟で優れていたか、翻って現在の若者がいかに過保護・過干渉な環境で育ち、いつまでも大人になりきれないか実感できます。
一部(現代語訳を)引用させていただきます。
稚心を去る
稚心とは、おさな心、すなわち子供じみた心のことである。・・・・どんなものでも稚と言われる間は完成にいたることができない。
いつまでも父や母によりかかって自分では何もせず、あるいはまた、父や兄に叱られるのを嫌って、常に母の陰に隠れ甘えるなどといったことは、すべて子供じみた水っぽい心つまりは「稚心」から生ずるのである。
十三四歳に成長し自ら学問を志す年齢になって、この心がほんの少しでも残っていたら、何をしても決して上達せず、将来天下第一等の大人物となることはできない。・・
立派な武士の仲間入りをするために、第一番に稚心を去らねばならぬと考える。
論語物語
旧制台北高等学校の校長等を務めた教育者、下村 湖人が論語で養われた思想を物語に構成した本です。
「孔子」の「論語」、題名を知っていても内容は良く知りませんよね。孔子と弟子の会話が読みやすい物語に仕立てられています。子供でも読める内容。伝統的な道徳・価値観が腑に落ちます。
平生の心がけ
平成天皇が皇太子であった当時の教育責任者、慶應義塾長を務めた小泉信三の本です。
皇太子の教育責任者といえば、その時代の第一級の人物であり教育者。戦後の価値観が混乱した時代にその要職を担ったと聞けば、どんな人物か興味が湧きます。そんな小泉先生の「平生の心がけ」は子育ての貴重な指針となります。
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