過去に繰越の申告をし忘れたFXの損失を追加で申告(更正請求)できるのか調べました。
e-TAXでは「更正請求」できない
e-TAXの確定申告書等作成コーナーのトップ画面には次の記載があります。
今年(令和6年)は前年(令和5年)分の申告をするわけですが、その前(令和4年以前)の申告に誤りがあった場合には、この指示に従って「更正の請求書」を作成することができます。以前ダウンロードしてあった申告データをe-taxに読み込ませたうえで修正することができます。
自分は令和4年にFXの損失(先物取引にかかる雑所得等)の申告を忘れていたことに気付いたので「更正の請求書」を作成することにしました。以下はe-TAXの画面遷移です。
まず「所得税の更正の請求書・修正申告書」を選びます。
次に「先物取引にかかる雑所得等」を選びます。
アップロードした令和4年のデータが表示されるので「先物取引にかかる雑所得」にマイナス(-)を付けて損失額を入力します。(FXの損益は「先物取引にかかる雑所得」に該当します)
すると、次のエラーメッセージが出てきて、これより先に進めませんでした。
過去に申告済みの金額修正はできるが、新しく追加することはできない。ということです。
法令上はどうなっているか
国税庁のホームページに載っている関連の法令解釈通達は次の通りです。
第41条の15((先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除))関係
更正の請求による更正により先物取引の差金等決済に係る損失の金額があることとなった場合
41の15-1 措置法第41条の15第3項に規定する「先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につき当該先物取引の差金等決済に係る損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある確定申告書を提出」した場合には、同項に規定する先物取引の差金等決済に係る損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類(次項において「明細書等」という。)の添付がなく提出された確定申告書につき通則法第23条((更正の請求))に規定する更正の請求に基づく更正により、新たに措置法第41条の15第2項に規定する先物取引の差金等決済に係る損失の金額(次項において「先物取引の差金等決済に係る損失の金額」という。)があることとなった場合も含まれることに留意する。
何を言っているか解りにくいのですが、申告済みの金額の修正だけではなく申告を忘れた損失が「あることになった場合」も更正請求ができると読めます。
当局の「法令解釈」とe-TAXのシステム仕様に矛盾があると思われます。
税理士さんの所見は?
税理士さんのブログ記事等を漁ってみたのですが、やはり「更正請求できる」と解釈している人が多いようですが。
先物取引による損失の繰越は、最初の確定申告の際に損失の金額の記載と計算書の添付があり、その後連続して申告書に繰越の記載がある場合に限り適用することになっています。
ご質問の自動メッセージについてはそのことについて注意喚起をしたものです。
ただし、先物取引の雑所得の損失については、措置法通達41の15-1という通達において「更正の請求により新たに損失の金額が発生した場合を含む」とあるので、令和4年の損失については令和5年の申告書の提出前であれば更正の請求が可能と思われます。
なので、そのまま更正の請求の手続きを進めていただき、更正の請求書に上記通達により繰越控除を適用すると理由を付記して下さい。
問題が無ければ更正の請求が認められるはずです。
https://www.justanswer.jp/tax/nuhgm-4.html
お尋ねの件、下記通達でできるようにも思うのですが、税務署の窓口でできないと受け付けてもらえないことが多いようです。いちど税務署に出かけて相談するといいと思います。
https://www.zeiri4.com/c_5/q_73321/
いずれにしろ、e-TAXで処理できませんから税務署に直接相談するしかありません。
自分が申告を忘れていた損失はそれほど大きな金額では無かったので諦めました。電話相談もほとんど繋がりませんから・・・労を厭わない方は相談してみるといいでしょう。
日本の税制って本当に複雑ですね。😩
免責事項
記事の内容は可能な調査に基づき正確を期したものですが、万一事実誤認、解釈の誤りがあっても責任は負いませんので悪しからずご了承ください。
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