はじめに
金融資産も持家もなしに定年を迎え収入が途絶えれば心配なのはあたりまえのことです。持家がなくとも金融資産を持っている方が、老後に適した選択ができるというのが今回の話です。
昭和課長が60歳で退職し年金を前倒し受給した場合の資産状況と年金受給金額は次の通りになります。
現在の金融資産 | 60,000,000 |
退職一時金 | 13,800,000 |
金融資産計 | 73,800,000 |
公的年金/月 | 145,529 |
企業年金/月 | 117,000 |
年金計/月 | 262,529 |
月額の年金額は、大卒新入社員の初任給並みでしょうか。追っかけ、専業主婦だった妻の年金がのってきます。夫婦2人で30万円にはなるでしょう。夫婦2人でつましく暮らすことはなんとかとできると思います。
問題は、約7千万円の金融資産をどう、住宅費に振り向けるのか、余力をどのくらい残せるかということになります。「老後2千万円騒動」がありましたが、老後費用として2千万円をとっておくとすれば、住宅費にあてられるのは5千万円です。(これまでの賃貸生活が金融資産の積み上げに効果的だったという話は別の記事にしていますのでご参照ください。)
地方での住宅取得
もう、通勤は不要ですから居住地に制約はありません。大都市圏を外して地方に居を定めることにすれば5千万円で住宅取得は十分可能でしょう。程よい地方で、もっと住宅コストを下げることができれば、余力は大きくできます。コロナショックでZoomも急速に普及しました、ネット通販の利用も可能ですからインターネット環境さえあればどこに住んでいても生活の質はあまり変わらないのではないかと考えています。大事なのは食料品や日用品を歩いて買いに行けるスーパーが近くにあることです。
例えば温暖な房総、東北新幹線が停車する那須塩原、東京にいる子供も電車で遊びに来やすいところはどうでしょう。瀬戸内もいいかもしれません。
あれこれ考えますが、現実には慣れない土地に移るには相応の決意も必要です。これがプラン1。最近流行りのFIRE後に地方居住されている有名ブロガーさんの選択がこれに近いと思います。
首都圏で賃貸暮らし継続
いや、そうはいっても永く住んだ今のUR賃貸もまんざら悪くない。そのまま住み続けるとどうでしょう。生活費にあてる年金とは別に、家賃として月18万円、年間216万円の所得があればよいことになります。7千万円の金融資産を3%で運用できれば捻出できます。
ここで米国高配当優良株の登場です。Johnson&Johnsonは2.71%、AT&Tは7.12%、Coca Colaは3.11%の利回りになっています(2020年12月4日現在 Yahoo finance USA参照)。リスクの高いもの、低いものを混ぜてポートフォリオを組めばいけそうな水準です。これが可能なら元本7千万円も温存できます。
もちろんリスクもありますし、年をとってからいつまでも株式運用に頭を悩ますのも苦痛になるかもしれません。ボケたら、だれかに頼らざるを得なくなるでしょう。しかし元本をほぼ温存できていれば、その時点で老人ホームに入ることも、住宅を購入することも可能です。一旦取得した住宅は老朽化していきますが、金融資産は腐りません。保有コストも不要です。この先住宅価格が高騰することはちょっと考えられません。建築技術も進み、より安価で良質な住宅が供給されているかもしれません。うまくいけばキャピタルゲインを得ることも可能です。これがプラン2です。
首都圏で中古中宅購入
30代で住宅取得していたつもりになって、値下がりした中古マンションを買う。これがプラン3です。昭和課長が1996年、33歳のときに、なかなか良いマンションだと思って一時買おうかと考えた物件をネットで検索してみました。当時5,750万円。
ネットで物件を検索したところ販売時のキャッチフレーズがいまも残っていました。ほぼ築25年になっています。
徒歩14分の京王線「つつじが丘」駅から、新宿へ15分。
光を浴びるラウンジ、四季を映す中庭、地下に居室のあるグランドメゾネット、独立感を高める吹きぬけプラン「〇〇〇マンション」では全戸を南向きに配置し、安全なフルフラット設計、優雅な気品のフローリング仕上げ。その上、玄関には吹抜のある専用ポーチを設けるなど、グレード感あふれる独立性を演出しています。吹抜は洋室と外部廊下を隔て、洋室のプライバシーを守る機能も果たします。これらの工夫によって各住戸には、戸建感覚のハイレベルな居住性が生まれます。さらに「〇〇〇マンション」の目ざましい特徴は、地下に居室を備えたグランドメゾネットタイプや、専用屋上庭園とも言うべきルーフガーデンを備えたタイプを、提案していることです。次世代マンションの新しい形が、ここにあると言っていいでしょう。
参考相場3,358万円 ~ 中央値:4,082万円。意外に値崩れしていない方です。南面ワイドの敷地の地型、周辺環境が良好なためと考えられます。4千万で買ったとしても、3千万の余力を残すことができます。
どうせ中古マンションを買うなら、千葉ニュータウンはどうでしょう。80年代バブルのころ同世代が千葉や多摩のニュータウンで住宅を購入しました。当時はURの前身である住宅都市整備公団が分譲マンション事業をやっていました。抽選に当たって購入できた人が羨ましがられたものです。千葉ニュータウンは成田空港に近く、LCCがたくさん就航しています。旅行にも便利です。1千万円~2千万台で広いマンションが沢山あります。ちょっと安すぎて怖い感じです。千葉の佐倉、埼玉の幸手なども伊藤忠系の業者が日経新聞の全面に戸建分譲の広告を出していたものです。
ただ、築25年の中古マンションを購入すると、80歳時点で築50年近くになります。老朽化したマンションの維持管理はいったいどんなことになっているでしょう。ちょっと想像がつきません。これは持家で居住している人にとっても同じことですね。
都内で新築住宅購入
プラン4は、都内に住み続けることにして新築住宅を購入することです。まだまだ物件価格は高いですが、有り金はたけば、そこそこの物件が買えるでしょう。いまからの新築であれば、なんとか寿命まで家が持ちこたえると思います。しかし、プラン4で余力を残すためには、定年までの期間にもっと金融資産を増やすことが必要です。
いずれにしろ、退職を前に多様な選択肢が残っていることは賃貸生活を選択してきたことのメリットだと思います。あの時、あの物件を買っとけばよかったという後悔はありません。むしろ、買わなくてよかったと思うばかりです。
皆さんは、どの選択が良いとお考えになるでしょう。
参考にしていただければ幸いです。
コメント