Bスポット治療との出会い
鼻炎人生40年。小学生のころから耳鼻科に通いました。抗アレルギー薬、抗生物質、ステロイド等を使った治療をうけると一時的に改善するのですが、なかなか根治しません。
もう30年近く前の話ですが、何か良い治療法はないものかと八重洲ブックセンターで医療系の本を立ち読みしながら思案していました。その時見つけたのが「原因不明の病気が治る Dr.堀口の「Bスポット療法」 (カッパ・サイエンス)」発行年月:1993.5です。東京医科歯科大学名誉教授 堀口申作先生の著書です。
題名を見たときはちょっと眉唾な民間療法かと思いました。しかし読み進めると「これだ」と感じさせるものがありました。しかも、著者は一流大学の名誉教授。
本には「塩化亜鉛溶液」という安価な消炎薬を喉と鼻の間の「鼻咽腔(Bスポット)」(あるいは上咽頭)に綿棒で塗るだけの簡単な治療がいろいろな病気に効果を発揮したという症例が出てきます。また自分でBスポットをケアするなら、いまで言う「鼻うがい、鼻洗浄」が良いということも書いてありました。
「堀口申作のBスポット療法」には子供の「チック症」がBスポット治療で治ってしまったというような例も書いてありました。たしかに、鼻咽腔の粘膜の炎症が首や顔の不自然な動きの原因になっていたというのは、ありそうな話です。その原因を見落として、誤診により精神薬が投与されたりしていれば、その副作用による弊害の方が大きかったでしょう。ですからBスポット治療で治った患者さんはずいぶん喜び、万病に効くという風評が広がったのでしょう。
この本は一旦絶版になりましたが、2018年新潮社から「堀口申作のBスポット療法」 として復刻版が出版されました。再出版されるまでの間、旧版は1万円を超える高値で取引されていました。
Bスポット治療の現状
治療内容は「認定NPO法人日本病巣疾患研究会 慢性上咽頭炎」で知ることができます。Bスポット治療を行う医療機関も紹介されています。
しかし、「Bスポット治療」は、一般の耳鼻科医師の標準治療としては定着していません。普通の耳鼻科で「Bスポット」の話をすると、医師によっては知っていて「あーあれね、やってみたい?」という方もいらっしゃいますが、どうも乗り気ではないようです。よくあるステロイド系の点鼻薬やネブライザー治療と結果はあまり変わらないと考えている医師が多いように見受けられます。
実際Bスポット治療を受けてみると、それまでの耳鼻科の治療では薬が届いていなかった鼻の穴と喉の交差点に届いたと感じました。痛いところ、不快感のあったところに手が届いたように感じます。また、単純な消炎症薬の方がステロイドより効果的で安全という気がします。
最近では堀田修医師がこの治療に熱心に取り組まれており、本も出版されています。
Bスポット治療体験談
所沢の久我クリニックさん
堀口先生の本(旧版)ではBスポット治療をする医師も紹介されていましたが当時もBスポット治療を行う医療機関は少なく、高齢のためか引退している医師もいらっしゃいました。
本に掲載されていたお医者さんのなかから選んで訪ねたのは、所沢の「久我クリニック」さんでした。このクリニックを訪ねたとき、待合室の患者さんが「ここの先生は、堀口さんの甥御さんなんだ」とおっしゃっていました。
鼻に綿棒をつっこまれて喉の奥の方に到達すると「あー、そこそこ」という感じで、不快なポイントに薬が塗られる快感がありました。しかし、何度か通院したのですが、根治には至りませんでした。その後転勤で転居したため、通院が途絶えました。
千葉の田井耳鼻咽喉科さん
そんなある時、この際、堀口先生に直接治療してもらおうと思い立ち、本に載っていた先生の自宅電話番号に電話しました。
電話すると奥さんが出られ、「主人はもう亡くなりまして、治療しておりません」とおっしゃいました。そして千葉の田井さんという医師を推薦してくれました。きっといいお医者さんなんだろうと思いましたが、当時住んでいた場所から遠かったので諦めました。
ところが、その後千葉方面に転居することになったのです。調べてみると千葉市の花見川区で田井耳鼻咽喉科を開業されていることがわかりました(「タノイ」とお読みするようです)。通院したのは1998年です。当時先生は、奥さんと一緒に患者をみていました。奥さんも医師なのです。今もネットにサイトがあるので、お元気なのでしょう。
田井先生はBスポット治療を独自に進化させ、「6スポット治療」を提唱されていました。治療をするとき看護婦さんから「痛くない痛くない、と声にだして繰り返して下さい。」と言われました。冗談かと思いましたが本当に唱えさせるのです。唱えているあいだに、鼻腔から綿棒が突っ込まれ、まんべんなく、ぐりぐりと薬を塗りたくられました。次に、喉からも綿棒で鼻の方に薬が塗られます。久我先生の塗り方よりかなり激しいです。「これは、効きそうだ」と思いました。田井先生の奥さんが、「私もアレルギーがあったんですけど、治ったんですよねー」とおっしゃっていました。ちなみに、青山セントラルクリニックの田井先生はお嬢さん。最近本も出版されました。
その後、田井先生の医院にもなんどか通ったのですが、結局根治しませんでした。
この治療は不定愁訴に悩む患者さんが、藁をもつかむ思いで試される方が多いようです。それゆえ、いまだに堀口先生の旧版の本を求めたいと希望する人がいらっしゃるようで高値がついたりするのでしょう。効果があった方も多いようですが、その正しい評価は素人にはわかりません。
おそらく、初めに何度か試されて著効があれば、その患者さんの症状にバッチリ適した、良い治療なのだと思います。数十回、時には百回と治療を重ねる方もいらっしゃるようですが、そこまでする意味はあまりないのでは無いかなと思いました。
意外にも整体で鼻づまりが治った!
実は、自分の鼻炎・鼻づまりは意外なことで治っていきます。それは整体です。どうも体の歪み、頭の傾き、姿勢の悪さが鼻づまりの原因になっていたようです。それが解消できたら治ってしまったのです。
整体師の治療を受けたわけではありません。温泉で風呂あがりに全身を鏡で見たときにどうも体が偏っているのが気になり、あとは自分が感じるまま背骨を真っすぐにして中心感覚を取り戻すとか、腰が引けて前かがみがちになっているのを治すとか、姿勢を正していったのです。四つん這いになって体をいろいろな方向に動かすのが自分には効果的でした。
興味のある方は整体・ヨガ・ストレッチ等々のユーチューブ動画が花盛りですから、これらを参考に自分の姿勢や体の癖の改善に効きそうな体操を試してみると良いと思います。
鏡は顔を映すより体を映すことに使う方が役に立ちます。全身を映せる鏡の前に裸で立ってみるといいです。銭湯でもいいですね。
自分の体のことは自分にしかわからないと言いますがその通りなのです。体の違和感のある歪みを自分で見つけて、気持ちのいいように動かしたり、伸ばしたりするのが一番です。
特別な器具も必要ありませんがスポーツジムにおいてある「ストレッチポール」は良かったと思います。自分で購入して家でもゴロゴロ使っています。最近は公立のスポーツセンターも装備が充実しているので、置いてある場合が多いです。お試しになって気に入ったら購入するのも良いでしょう。ストレッチポールに背筋を乗せたときに、自分が体の中心だと意識しているラインと実際の中心線がずれていることを感じました。
ということで、何度Bスポット治療を受けても自分の症状が改善しないと思われている方は、何か別の原因やアプローチを考えてみることも良いのではないかと思います。自分に効くのかどうかを自分で見極めることが大事だと思います。日本の医師は専門科目毎の縦割りなので、全身をつぶさに診ることができるのは自分だけという意識をもつことが必要だと思いました。
自分でやってみたこと
ルゴール液の喉への塗布
これは普通の人でもやることですね。
こちらの器具を使うと、上咽頭の方に薬液を塗布できるので、直線的な綿棒を使うよりは良いと思います。
鼻綿棒
噴霧式の点鼻薬の液に浸して鼻から奥に入れて薬を塗ってみたことがあります。
医師がBスポット治療で鼻綿棒を使う場合、綿は「普通の耳綿棒」のように軸に固めて巻き付けません。外れないように軸にはしっかりつけますが、綿全体は固めずすこし柔らかくしておきます。これで薬液が十分浸透します。
自分で鼻綿棒を使うのはちょっと怖い感じですよね。これは相応のリスクもあると思うので、お勧めしません。また喉から上咽頭に向けて薬を塗布する方が、広範囲に薬を塗布できて効果的らしいです。あえてチャレンジすることは無いと思います。
鼻洗浄・鼻うがい
いろいろな器具を試しました。かなりのマニアです。鼻うがい用に一番のお勧めは「ニールメッド」です。
この動画は、ニールメッドを使った鼻うがいで上咽頭がちゃんと洗浄できているのかをファイバースコープで確認しているものです。うまく洗えているようですね。
堀口先生の本には簡単な治療だと書いているので、塩化亜鉛を買い求めて自分で治療してみようと考える方が多いようです。ところが、一般人にはこの薬は手に入りません。市販されていません。
グラクソスミスクラインという会社が製造していた「アストリンゴゾール」という「うがい薬」が以前ドラッグストアー等で販売されていました。その成分に塩化亜鉛が含まれていることから、これを入手しようと試みる人もいるようですが、日本では販売中止になって久しいです。
【アストリンゴゾールの成分100ml中】
サリチル酸メチル4.615g:殺菌消毒
ミルラエキス0.566g:粘膜保護
塩化亜鉛0.421g:収れん
無水クエン酸0.0015g:清涼感
エタノール63.961g:口中の爽快感・口臭予防の緩和
今でも米国では同じ薬が販売されているようです。輸入品だと思いますがASTING-O-SOL LIQ Size:8 OZが日本のアマゾンでも売られています。一緒に咽頭頭綿棒や鼻綿棒を購入する方が多いようなので、やはり自分でBスポット治療を試す方が相当いるのでしょう。
この薬を自分で使った経験はありません。
Bスポット治療をやっている医療機関への通院が可能な地域にお住まいなら、まず通院してみるのがいいのではないでしょうか。前出の堀田医師は何度か治療経験のある人に自分で施術できるよう、塩化亜鉛を処方するという記事も読んだことがあります。
その他、不定愁訴に悩んでいる方の治療方法として一部で人気のあるペインクリニック(星状神経節ブロック)の治療経験もあるので、興味のある方はこちらの記事もご参照ください。鼻アレルギーに効くという説もあります。この治療が鼻炎に効果がある理由は、前述の整体が鼻づまりに効果があった理由に近いのでは無いかと個人的には感じています。つまり肩から上、頭部の血行改善や、委縮している上半身の筋肉が緩むことにより鼻づまりが改善するのではないだろうかということです。
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