古い戸建のトイレの話です。近頃「下水臭い」匂いがするようになりました。
悪臭の源は排水口
匂いの源はトイレの床にある排水口でした。古い住宅のトイレには、床に排水口が付いている場合があります。
排水口(トラップ)には下水道から逆流する悪臭や虫の侵入を防ぐ「封水」という仕組みがあるのですが、封水が蒸発して無くなっていたのです。
排水トラップは、排水経路の途中を水で常に遮断しておく構造を持つ(これを封水(ふうすい)または水封(すいふう)と呼ぶ)。経路を水で塞ぐことによりそこから先の空気や硫化水素等のガスを遮断する。また衛生害虫等の排水管から屋内への侵入を防止する。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%92%E6%B0%B4%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97
排水口の構造は、「ベルトラップ」とか「椀(ワン)トラップ」と呼ばれているものでした。
ベルトラップ(椀トラップ)
お椀を伏せたような形状あるいはベル状のもの。水封部の水量が少なく破封しやすい。また椀部は容易に取り外すことができるようになっている製品が多く、取り外した場合トラップとしての機能が失われ、悪臭やガスが逆流してくるので注意が必要である。台所の流し台・浴室の床などの排水口などで使用される。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%92%E6%B0%B4%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97
対策
その1「ワントラップ」用防臭アダプターを取り付ける
水道用品メーカーではワントラップ用の「防臭アダプター」を販売しています。このアダプターを取り付けると封水が蒸発して無くなくなっても臭気もれや害虫の侵入を防ぐことができます。排水時は水の重みによって弁体が開くので、排水口としての機能も維持できます。
こちらは大手メーカー「カクダイ」の商品です。
商品説明用の動画です。
排水口の大きさに応じた、2種類(汎用ワントラップ・鋳物製排水トラップ)のパッキンが付属しています。
その2「すきまパテ」で封印する
封水の代わりにセメダインの「すきまパテ」で水が溜まる溝を埋め、「お椀」を被せて隙間を塞ぐと匂いが消えます。そもそも排水口は無用という場合はこれでいいでしょう。
「パテ」は蒸発で失われることがありませんから封は長持ちします。必要があれば取り外すことも簡単です。
地下下水道の整備が悪臭発生のきっかけ
ところで実はこのトイレの床を水洗いしたことはありませんでした。つまり排水口を「水封」したことは過去に一度も無かったことになります。にも拘わらず長年悪臭が気になったことはありません。
では、なぜ最近になって悪臭がするようになったのでしょう?
振り返ると「公共下水道」の整備がきっかけだったようです。
地下下水道が整備される以前、トイレの床の排水口は雨水が流れる下水道(側溝)に通じていたのかもしれません。なので以前は封水が無くても排水口から侵入してくるのは外気だけだったのだと思われます。本当のところよく解りませんが、排水設備や排水経路はいろいろ複雑なので公共下水道が整備されたタイミングでの排水経路変更等が影響したのだと推測しています。排水設備の設計には法規制もあるので、あまり変なことはしていないと思いますが、排水設備の工事等をする場合は施主としても内容を確り理解するのが賢明です。
S字型トラップの封水蒸発対策
封水が蒸発して悪臭が発生する問題は、洗面台のS字型トラップでも発生することがあります。賃貸住宅で空室が長期化した場合など、封水が切れてしまうのです。
その対策に「封水蒸発防止液」が販売されています。
長期間利用しない洗面台の排水口なら、ゴム栓で塞いでしまうのもありです。
なお、排水工事の施主として知っておきたい知識を学ぶにはこちらの本が参考になりました。
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