2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。この機会に資源エネルギー庁の「エネルギー白書2021」で国際エネルギー動向を確認してみました。
基礎知識
まず、石油とガスに関する基礎知識です。株式会社INPEX(旧国際石油開発帝石株式会社)のサイトから引用しました。大変わかりやすく整理されています。
以下は、エネルギー白書に掲載されている資料からの引用です。
世界のエネルギー消費量の推移(地域別、一次エネルギー)
世界の原油確認埋蔵量(2019年末)
世界の原油生産動向(地域別)
世界の石油消費の推移(地域別)
世界の年間石油消費の推移(部門別)
世界の石油の主な石油貿易(2019年)
チョークポイントリスクの推移(推計)
石油が輸送される際の安全確保は、エネルギー安全保障の上でも非常に重要です。世界的に海上輸送ルートとして広く使われる狭い海峡をチョークポイントと呼びます。チョークポイントについては、米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が示したレポートにあるチョークポイント8か所、すなわちホルムズ海峡、マラッカ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡、スエズ運河、トルコ海峡、パナマ運河、デンマーク海峡、喜望峰を使用します。各国の輸入する原油がこれらのチョークポイントを通過することをリスクととらえ、チョークポイント比率を算出しました。フランスやドイツ、英国などの欧米諸国の場合、チョークポイントを通過するのは中東から輸入する原油にほぼ限られるため、比較的チョークポイント比率が低く、チョークポイントを通過せずに輸入できる原油が多いことを示しています。他方、日本を始め、中国、韓国などの東アジア諸国の場合、輸入原油の大半はマラッカ海峡を通過しますが、中東から輸入する原油の大半は、それに加えホルムズ海峡を通過することになるため、複数のチョークポイントを通過することでリスクが増加し、数値も上昇する傾向にあります
エネルギー白書2021
原油価格の動向
原油価格は、これまでも大きな変動を繰り返してきました。2000年代半ば以降、中国を始めとする非OECD諸国において石油需要が急増したことを受けて上昇し続けた原油価格は、2008年の米国大手証券会社の経営破綻に端を発する経済危機(リーマンショック)に伴って急落しました。その後は、非OECD諸国がけん引する形で世界経済が回復したことや、OPEC産油国が減産しことで、価格は上昇に転じました。2011年から2014年までの年間平均価格は、ブレント原油で1バレル99ドルから112ドル、WTI原油で93ドルから98ドルの範囲で推移しました
2017年1月からのOPECプラス協調減産も奏功し、価格は回復しました。2018年後半には需給緩和懸念によって価格が急落したこともあり、OPECプラスは2019年1月より減産量を見直し、価格は上昇しました。2020年に入り、世界でCOVID-19の影響が顕著になりだす中、徐々にOPECプラス参加国の足並みが揃わなくなり、2020年3月末に協調減産体制は終了しました。
協調体制終了に伴いサウジアラビアやUAEは4月から増産を打ち出したものの、COVID-19による移動制限や経済活動の停滞に伴い、世界の原油需要は大きく落ち込み、原油価格は大幅に急落しました。それを受け、OPECプラスは再び協議を行い、970万バレル/日というかつてない規模の減産に合意しました。経済活動が徐々に再開される中で、減産の効果もみられ原油価格は2021年2月時点で約70$まで上昇しています
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