行動経済学で分析するZoomホルダーの心理。

はじめに

コロナ禍中に一躍有名になったZoom。このところ株価低調です。チャートを見てみましょう。

2020年3月コロナ禍の広がりとともにユーザーが爆発的に伸び、株価はうなぎ上り。2020年10月19日終値で最高値の$568.34をつけました。その後、好決算発表やニュースが出たときに短期的な上昇を見せながらも、直近は$321.52(2021年4月12日終値)まで下げています。高値から約43%下落。ホルダーに含み益の人は殆どいなくなったのでは。

含み損を抱えている人の心理を行動経済学的に分析してみます。

サンクスコスト効果

すでに投入して回収できない費用を「サンクスコスト(埋設費用)」といいます。投資したお金や労力、時間を「もったいない」と考え、損をすることがわかっていてもやめられないことを「サンクスコスト効果」といいます。「ここまでつぎ込んでやめるわけにはいかない」という非合理な心理です。

株式投資でも自分が投資した金額に固着して買い替えや損切ができない「サンクスコスト効果」がみられます。ではどのように判断するのが合理的なのでしょう。

それは「サンクスコスト(埋没費用)」を今後の判断材料に入れないことです。

Zoomを2020年10月19日以後に買ってホールドしている人はほぼ皆さん含み損を抱えています。その含み損を全く考慮にいれず、「今これからZoomを買うか?」と考えてください。その答えがNOなら、この投資は失敗。いったん損切って別の投資を考えるのが合理的判断ということになります。いや、ここからならまたZoomを買う。ということなら、持っていてもいいかもしれません。しかし、実際に損切ってみないとなかなか、気持ちをリセットできませんから、一旦売って本当に買いだと思うなら、すぐ買い直せばいいでしょう。手数料は知れたものです。

アンカリング効果

人には、最初に受けた印象が錨(アンカー)のように心に残る傾向があります。新しい情報を処理する際、そのアンカーが強く影響します。これが「アンカリング効果」

うなぎ上りのZoom。高値$568.34ZのZoomを見ていた人にとって、その後の$500、$450,$400、$350は、安いと感じていたはずです。高値のZoomが「アンカー」(基準)となって安いと感じさせているわけです。

低い確率の過大評価

人は確率を正確にとらえるのが苦手です。客観的な確率と主観的な確率にずれが生じます。低い確率が過大評価され、高い確率が過小評価されることが起こります。「宝くじ」売り場に行列ができるのは「低い確率」を過大評価している人が多いからです。

Zoomがここから過去の高値を超える確率はどのぐらいでしょう?将来の株価はわかりませんが、最高値まで戻るのはかなり低い確率と考える方が客観的な感じがします。SP500インデックスがじわじわ上がっていく確率の方がZMが高値を超える確率より客観的に見て高いのではないでしょうか。Zoomが上がる低い確率を過大評価し、SP500が上昇しつづける高い確率を過小評価していないでしょうか。

社会的選考 常に他人を意識する

人は意思決定をする際、常に他人を意識します。他の人と同じことをして安心したり、逆に他の人と違うことに優越感を持ったりします。Zoomも他の人がどうしているかを意識しながら、みんなが買っているならまだ安心。売っているなら、自分も売らなきゃ。と思っていないでしょうか。

結び

伝統的な経済学が前提とするのは合理的かつ利己的に行動する人間です。しかし実際の人間の行動は非合理です。行動経済学は人間が非合理的で他人を気にしながら行動することに着目し、旧来の経済学の矛盾を説明しました。行動経済学を知ると人間が意思決定するときの癖を知ることができます。人間の行動の傾向を知ることで、ビジネス(マーケティング)や投資に生かすこともできるとされています。

あなたがZoomを保有し続ける心理は上述のどれかに該当していないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました